結論から言うと、ABN(Australian Business Number)が必要なのは『個人事業主(Sole Trader)として事業を営む人』だけです。カフェ・レストラン・農場・小売などで雇われて働く(従業員)場合はABNは不要で、必要なのはTFN(納税者番号)です。ABNは事業者としての登録番号であり、雇われて働くこととは根本的に別物です。
ABNが必要な代表例:Uber Eats・DoorDashなどのフードデリバリー、Airtaskerなどの単発請負、Webデザイン・IT・翻訳などのフリーランス、自分の裁量で複数のクライアントから仕事を受ける請負作業。これらは『自分の事業として、自分のリスクで、成果に対して報酬を得る』働き方のため、ABNを取得し、収入を自分で確定申告(Tax Return)します。源泉徴収されないため、税金分を自分で取り分ける必要があります。
ABNが不要な代表例:時給や週給で雇われ、シフトに入り、雇用主の指示で働く通常の仕事。この場合は雇用主が源泉徴収し、Super(12%)も積み立て、Payslipが発行されます。ここで働くのに必要なのはTFNだけで、ABNを取る必要はありません。
重要な注意点:本来は従業員として雇うべき仕事なのに、雇用主が『ABNを取ってきて』と求めてくるケースがあります。これはSuper・有給・最低賃金・労災などの雇用主負担を回避するための違法な手法(Sham Contracting/偽装請負)である可能性があります。シフトに入り、指示どおり働き、時給で支払われる実態なら、それは雇用でありABNは不要です。求められても鵜呑みにせず、実態を確認してください(詳細は『ContractorとEmployeeの違い』の記事参照)。
迷ったときの判断軸:①仕事の成果に対して報酬を得ているか(=事業)/時間や指示に対してか(=雇用)、②自分の道具・車で、自分のリスクで働くか、③複数のクライアントに自由にサービスを提供できるか。これらが『はい』なら事業(ABN)寄り、雇用主の管理下で決まった時間働くなら雇用(TFN)です。1つの仕事で両方が混在することは通常ありません。