オーストラリアに滞在しながら日本の仕事をリモートで続ける人は少なくありません。ただし『どこで働いた収入か』『どちらの国の税務上の居住者か』によって、税金の扱いが大きく変わります。この領域は個人の状況(滞在期間・ビザ・生活の拠点・契約形態)で結論が変わり、判断が非常に難しいため、この記事は論点整理にとどめ、最終的な判断は豪州と日本の双方で専門家に必ず確認してください。
最初の重要な論点が『税務上の居住性(tax residency)』です。豪州の税務上の居住者と判断されると、原則として全世界所得(日本から得た収入を含む)が豪州の申告対象になりえます。居住性は在留日数だけで機械的に決まるものではなく、生活の拠点や滞在の目的・態様など複数の要素で判断されます。日本側でも居住者・非居住者の判定があり、両国の判定が絡み合うため、自己判断は避けましょう。
次に『二重課税』の論点です。日本と豪州のあいだには租税条約があり、同じ所得に両国で二重に課税されることを調整する仕組み(外国税額控除など)が用意されています。ただし、どの所得にどう適用されるか、源泉徴収の有無、必要な手続きは個別性が高く複雑です。日本で源泉徴収された税がある場合の取り扱いも含め、両国の専門家に確認するのが安全です。
契約と報酬の受け取りも整理しておきます。日本のクライアントと請負で仕事をする場合、契約内容(業務範囲・報酬・支払条件・著作権・機密保持)を書面で明確にしておくとトラブルを避けられます。報酬を日本の口座で受け取るか豪州の口座で受け取るか、送金の手数料・為替・着金までの時間も事前に確認しましょう。豪州で個人事業主として活動する部分についてはABNや記録が関係する場合があり、これも専門家に相談すると整理しやすくなります。
実務上のポイントは、(1) 収入・経費・契約・請求書・源泉徴収の記録をすべて残す、(2) 為替レートの扱い(豪ドル換算の基準)を確認する、(3) 日本の確定申告と豪州のタックスリターンの両方の期限・要否を把握する、(4) 迷ったら早めに専門家に相談する、の4点です。ビザの就労条件にも注意が必要で、ワーホリビザの制限は主に『豪州内の雇用』に関するものですが、条件は変わりうるため移民局(Home Affairs)で確認してください。税務は誤ると後から負担が生じるため、コストをかけてでも専門家確認をおすすめします。