結論から言うと、帰国後も豪州の銀行口座を残すこと自体は可能ですが、『維持費』『休眠口座化』『海外居住者としての課税』『本人確認手段の維持』の4点に注意が必要です。口座を残す判断は、タックスリターンの還付やDASP(Superの払い戻し)の受け取り待ち、将来の再渡航や投資の予定などがある場合に合理的です。まず『なぜ残すのか(受け取り待ちか、長期保有か)』を明確にすると、必要な管理が見えてきます(閉じるか残すかの判断そのものは関連記事も参照)。
第一に口座維持費(monthly account fee)です。維持費がかかるタイプの口座だと、使っていなくても毎月手数料が引かれ続け、少額残高が目減りしていきます。残すなら、維持費のかからない口座に切り替えられないかを出国前に確認しておくと安心です。
第二に休眠口座(inactive/dormant account)です。長期間まったく取引がないと口座は休眠扱いになり、一定期間を過ぎると残高が政府(ASIC)の未請求金(unclaimed money)として移管されることがあります。移管されても後から請求(claim)して取り戻せますが手間がかかるため、残す場合はオンラインでたまに少額を動かすなどして口座を『動いている』状態に保つのが有効です。
第三に海外居住者としての税務です。オーストラリアの税務上『外国居住者(foreign resident)』になると、預金利子(interest)などのオーストラリア源泉所得の扱いが居住者と変わり、TFNや海外住所の届け出状況によっては利子から源泉徴収されることがあります。税務上の居住性の判定や、利子課税・申告の要否は個別事情によるため、ATOで確認するか税理士に相談してください(この記事では税率や可否を断定しません)。銀行には帰国後の海外住所・連絡先を届け出ておきましょう。
第四に本人確認・ログイン手段の維持です。ネットバンキングやアプリのログイン、送金時の本人確認にSMSのワンタイムコードを使うことが多く、豪州の電話番号を解約すると認証が受け取れずログインできなくなることがあります。口座を残すなら、SMSを受け取れる番号を維持するか、認証方法を海外でも使える手段(認証アプリ・海外の連絡先)に切り替えられるか、出国前に銀行へ確認しておきましょう。あわせて、必要な取引明細は先にダウンロードしておくと安心です。